命宿る楽器

河合楽器製作所竜洋工場 に工場見学に行ってきました。


目的は二つ、
・ピアノをつくる過程を実際に現場で見てみたかった
・グランドピアノNo.500(500型)について知りたかった
からです。


【①工場見学の話】

今回見学させていただいて、工場のライン生産とはいえ思いのほか個人としての人間の力が大きいと感じました。

それはやっぱりピアノの大部分が木でできているからで、木は長い年月を生きてきた(生きている)個性をもった命だからなんですね。

同じようにつくっても、木に個性があって同じピアノにはならない。だからこそ最後は人が経験と技術と感性をもって仕上げる。生きている命に対して生きている命が向き合う、だからピアノは命ある楽器だと改めて知りました。

そして響板や鍵盤やハンマー(カワイは樹脂性)は、同じ木の同じ場所からつくられるとも知りました。

ピアノの心臓とも言える響板は、現在は樹齢150〜400年にもなるスプルースという木が輸入して使われているそうです。寒い場所で、少しずつ少しずつ大きくなった木の、節のないほんの一部分だけが響板になる。

以前はエゾマツという木が使われていたそうで、私のNo.500はもしかしたらエゾマツでつくられた響板かもしれません。技師さんにお会いできればお話を伺ってみたかったですが、また次回の楽しみとしたいと思います。

Shigeru Kawaiの最終工程も見させていただきました。熟練の技師が、ライン作業ではなく一人一台を責任を持って担当するそうです。その眼差しは職人のもので、子どもに向き合うような愛情も感じました。

今回、ピアノは命ある楽器だと改めて感じました。たくさんの人の手や思いがあって、一台のピアノができる。その一番の源流には、何百年も生き抜いてきた大きな命がある。

また、ハンマーフリューゲルを弾けたことも貴重な経験でした。月光や悲愴を弾いてみたら、少しだけベートーヴェンが感じていた音を覗いたような気がしました。


クリストフォリが発明したアクションによって、ピアノフォルテ(強弱がつけられるチェンバロ)が生まれた。その革命的転換点があって、今のピアノがあるんですね。

もっといい音が聴きたい、もっといい音楽を奏でたい。そんな人の想いと命が、ピアノという楽器をつくっていったんだなあと….その想いは、私も持ち続けたいと感じました。

人の想いと命が宿る楽器、ピアノ。私の中でも一音の重みが変わっていくように思います。

カワイ最初のグランドピアノ。当時家が一軒1,000円で建つ時代に、1,650円で販売されたそうです。蓋の内側には、共同で購入し学校に寄付した地元の資産家三名のお名前が刻まれています。

昭和8〜9年頃に製作されたというカワイ初のコンサートグランド。苦心の末に完成したそうです。

有名なYoshiki特注のクリスタルピアノ。


こちらもYoshiki特注のマホガニー製コンサートグランド。シルバーフレームがかっこいい!音も柔らかく、すごく好きなピアノでした。(その夜の夢に出てきた)